退職代行の選び方
労働組合・弁護士・民間の違いと注意点
退職代行は、本人の代わりに会社へ退職の意思を伝えるサービスです。2026年2月には、民間企業が運営する退職代行の社長らが弁護士法違反の疑いで逮捕され、運営元を確かめることがいっそう大切になっています。
3つの運営元の違い
| 運営元 | できること | 料金の目安 |
|---|---|---|
| 民間企業 | 退職の意思を伝えることだけ。会社との交渉はできない | 2〜3万円前後 |
| 労働組合(ユニオン) | 退職の連絡に加えて、退職日・有給消化・未払い給与などを会社と交渉できる(団体交渉権) | 2〜3万円前後 |
| 弁護士 | 交渉に加えて、未払いの残業代や退職金の請求、損害賠償を求められたときの対応など、法律の手続きまでできる | 5万円前後〜(請求する場合は成功報酬がつくことが多い) |
料金は目安です。追加料金や、雇用形態による料金の違いがないかも確認しましょう。
- 有給を使い切って辞めたい・退職日を調整したい → 労働組合か弁護士
- 未払いの残業代を請求したい・会社ともめている → 弁護士
「非弁行為」に注意
弁護士ではない人や会社が、報酬をもらって会社と交渉するなどの法律事務を仕事として行うことは、弁護士法72条で禁止されています(非弁行為)。民間企業の退職代行が「有給を使わせてほしい」「退職日をずらしてほしい」と会社と交渉すると、これにあたるおそれがあります。
また、弁護士でない者が、報酬を受け取る目的で弁護士に事件をあっせんすることも禁止されています。2026年2月に民間の退職代行の運営会社の社長らが逮捕された事件でも、提携する弁護士へ依頼者を紹介して紹介料を受け取っていた疑いが持たれました。
労働組合は、法律で認められた団体交渉権にもとづいて会社と交渉できます。交渉が必要になりそうなら、最初から労働組合か弁護士が運営するサービスを選ぶと安心です。
選ぶときのチェックリスト
- 運営元の名前・所在地・連絡先が書いてある
- 労働組合なら、組合の正式な名前と所在地がわかる
- 弁護士なら、弁護士の名前と所属する弁護士会が書いてある
- 料金に何が含まれるか(追加料金・後払い・返金の条件)がはっきりしている
- 民間企業なのに「交渉もできます」とうたっていない
- 相談の段階で、できること・できないことをはっきり説明してくれる
使う前に準備しておくこと
- 雇用形態(正社員・契約社員など)と、希望する退職日
- 有給の残り日数(最終出勤日の計算)
- 会社から借りている物(資格確認書・社員証・パソコンなど)の返し方
- 会社に置いてある私物の受け取り方
- 離職票・源泉徴収票などの書類の送り先
退職までの流れ
- 相談するLINEやメールで、状況と希望の退職日を伝えます。
- 申し込み・支払い料金と、できることの範囲を確認してから申し込みます。
- 代行の実行決めた日に、代行する人が会社へ退職の意思を伝えます。
- 退職届の郵送・貸与品の返却会社とのやり取りは代行する人を通して進みます。
- 書類を受け取る離職票や源泉徴収票が届いたら、退職後の手続きへ。
よくある質問
退職代行を使うと、損害賠償を請求されませんか?
決められた手順で退職すること自体を理由に、損害賠償が認められることはほとんどありません。ただし、会社の物を返さない、無断で長期間休むなど、ほかの問題があると話は別です。心配なときは弁護士が運営する退職代行を選ぶと、法的な対応まで相談できます。
次の日から会社に行かなくてもいいですか?
正社員など期間の定めのない雇用では、退職の申し入れから2週間で雇用が終わります。その2週間を有給休暇や欠勤扱いにして、出社しないで退職できるケースが多いです。有給の残りがない場合の扱いは、会社との話し合いになります。
有給は使えますか?
有給休暇は労働者の権利なので、退職日までに使えます。会社との交渉が必要になったときに対応できるのは、労働組合か弁護士が運営する退職代行です。
懲戒解雇にされることはありますか?
退職代行を使ったことだけを理由に懲戒解雇にするのは、通常は認められません。業務上の重大な問題がないかぎり、心配しすぎる必要はありません。